「まさに地獄。」ヨーロッパの熱波に苦しんでいる 5つの国

(図 Wcmax1 20220717 20220723 Europe ウィキメディア経由パブリックドメイン)

(Fig.) アーティクル・イメージ　　2022年7月16日(土)、ポルトガル北部のバステロ近くの山火事にヘリコプターが水を落とす

「前例のない」致命的な天候がヨーロッパ諸国を飲み込み始めています。

ヨーロッパが暑さを感じる中、政治家達は汗を流しています。

英国(U.K.)では、週末に緊急閣議が召集され、英国初の「極度の赤」熱警報について話し合った。フランス(France)では、ある議員がうだるような天候を「地獄」と表現しました。ポルトガル(Portugal)では、首相が危険な森林火災を監視しています。

今週、西ヨーロッパ(Western Europe)の気温が摂氏 40 度を超えると予想されている中、南ヨーロッパ(Southern Europe)ではすでに猛烈な夏の暑さの影響と戦っています。科学者達は、これは世界の気候変動の結果であると述べています。

地中海(Mediterranean)では、消防士達が炎を封じ込めようと奮闘し、川は干上がり、何千人もの人々が家から避難しました。地元メディアの報道によれば、これまでのところ、スペイン(Spain)で230人以上、ポルトガルで238人以上が暑さに関連した影響で死亡しているとのことです。

高気圧の動きが遅く、北アフリカ(North Africa)から灼熱の空気をもたらした結果、気温は今週も続き、フランス、ドイツ(Germany)、ベルギー(Belgium)、英国に向かって北と東に移動すると予想されています。

ヨーロッパの熱波の影響を感じている 5 つの国をご紹介します。

ポルトガル

ポルトガル政府は、ここ数日で数百件の火災が発生していた気象条件が改善したため、[7月10日]日曜日に警戒レベルを一段階引き下げました。

金曜日と土曜日には、ポルト(Porto)の北東部で 250件近くの新たな火災が報告されましたが、日曜日に政府は、今後数日間で最高 8 度まで気温が下がる可能性があると述べました。警戒レベルの引き下げにより、農家は早朝と夕方に夏の作物を収穫できるようになります。

ポルトガルのアントニオ・コスタ(António Costa)首相は月曜日、同国が気候変動との戦いで「時間を失っている」と述べ、再生可能エネルギーへの投資が不可欠であると述べました。

ロイター(Reuters)通信社によれば、ポルトガルの保健省は土曜日の夜、前週の暑さのために650人以上が死亡し、ほとんどの死亡者は高齢者であると述べました、7月7日から 13日にかけて、40 分ごとに 1人が死亡していました。

ポルトガルの中心部にあるラウザン(Lousã)では、水曜日に記録的な 46.3 度を記録しました。政府は、本土の 18 地区のうち 16 地区で緊急警報を発令し、100 を超える地方自治体が地方での火災のリスクが最大になっています。ポルトガルのアントニオ・コスタ首相は、滞在して火災を監視するために、モザンビーク(Mozambique)への公式訪問をキャンセルしました。

コスタ首相は、トッレ・デ・モンコルボ(Torre de Moncorvo)で火災と戦っているときに飛行機が墜落し、金曜日に亡くなった消防パイロットのアンドレ・セラ(André Serra)氏に敬意を表しました。

「私達は気象学的に前例のない状況に直面しています」と、国民保護の国家司令官であるアンドレ・フェルナンデス(Andre Fernandes)氏は土曜日に言いました。

イタリアは、EU の市民保護メカニズムの下で、ポルトガルに 2機の消防ジェットを送りました。

スペイン

(Fig.1)　スペインのシエラ・デ・ミハス山脈で猛威を振るう山火事にヘリコプターが水を落とす

約30件の火災がスペインの広大な地域で猛威を振るっており、気温がすでに数日間 40度を超えている場所もあります。

7月10日から7月15日までの間に、猛暑により約 360人が死亡した可能性があります、とカルロス３世公衆衛生研究所(Carlos III public health institute)は推定しています。犠牲者には、マドリッド市議会()Madrid City Councilの道路清掃員として働いていた 60 歳の男性が含まれています、彼が金曜日に倒れ発見されたとき、彼の体温は41.6度でした。

スペインのペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相は月曜日、火事から逃れるために人々が避難しているスペイン西部のエストレマドゥーラ地方(Extremadura region)を訪問します。

レンフェ(Renfe、スペインの鉄道会社)は、サモラ(Zamora)での火災のため、マドリッド(Madrid)とガリシア(Galicia)の間の列車運行を停止しました。

炎は、南と西のアンダルシア(Andalusia)とエストレマドゥーラ(Extremadura)から、カスティーリャ・ラ・マンチャ(Castilla-La Mancha)とカスティーリャ・イ・レオン(Castilla y León)の中央地域、東のムルシア(Murcia)とバレンシア(Valencia)地域を通しで、全国で約14,000ヘクタールの土地を既に破壊しています。

スペイン北西部の山岳地帯、シエラ・デ・ラ・クレブラ(Sierra de la Culebra,)の森林地帯のほぼ半分が焼失しました。これは、スペイン史上最大の火災として記録されており、フィゲレエラ・デ・アリバ(Figueruela de Arriba)の地域はまだ燃えています。

人気の観光地であるスペイン南部のコスタ・デル・ソル(Costa del Sol)の近くで、約 2,300 人がシエラ・デ・ミハス(Sierra de Mijas)山脈に広がった山火事から逃げなければなりませんでした。

当局によれば、暑さに加えて、降水量の不足により、スペインの貯水池は今週水曜日に総容量の 44.4% に達し、過去 10 年間のこの期間の平均 65.7% から低下したとのことです。

イタリア

(Fig.2)　イタリアのポー川は、何ヶ月にもわたって大雨が降らなかった後、記録的な低水位に達しました

イタリアで最も長いポー川(Po River,)は、何ヶ月にもわたって大雨が降らなかった後、記録的な低水位に達しました。アルプス(Alps)からアドリア海(Adriatic Sea)まで広がる重要な水源は、飲料、灌漑、水力発電に使用されます。イタリア北部のピエモンテ州(Piedmont)では、170 以上の地方自治体が水の消費に関する条例を発行したか、発行する予定です。これは、食品、家庭での使用と、医療以外のすべての使用を禁止することを意味します。公共または個人の庭の灌漑、中庭または車の洗浄に水を使用した場合、500ユーロまでの罰金が科せられる可能性があります。

ぐらつくイタリア政府は、北部の大部分で非常事態を宣言しました。

土曜日、エンリコ・ソルミ(Enrico Solmi)司教は、個人的に影響を受けた家族に敬意を表して、川のほとりでミサを行いました。行列は水の祝福と200日以上見られなかった雨への祈りで終わりました。

フランス

(Fig.3)　フランス南西部で山火事が猛威を振るったため、避難を余儀なくされた何千人もの人々を支援するために、避難所が設置されました

フランスでは、ジロンド(Gironde)県で森林火災が猛威を振るっているため、14,000 人以上が県の南西部の地域から避難しています。

地元メディアによれば、3つの大規模な火災がまだ続いており、ミストラル(mistral)として知られる南風が延焼に拍車をかけているため、日曜日までに約 11,000 ヘクタールの土地が焼失した、とのことです。気象局は、西海岸のブルターニュ(Brittany)から 15 の部署に熱波の赤警報を発令し、フランス北西部からコート・ダジュール(Côte d’Azur)までの別の 51 の部署にオレンジ警報を出しました。「状況は依然として非常に不利です」と、ジロンド県は日曜日に言いました。

ブルターニュの北西部では、日曜日に気温が 40度に達すると予想されていました。

月曜日、ブルターニュのブレスト(Brest)で、史上最高気温の 35.8 ℃ が記録されました。

バッサン・アルカション(Bassin d'Arcachon)の動物園は、ジロンド地方(Gironde region)の森林火災のため動物を避難させる予定です。火災は 14,300ヘクタールの植生を焼き尽くしました。約8,000人が避難しました。

緑のフランス(Green French)の議員のメラニー・フォーゲル(Melanie Vogel)氏は、土壌表面温度がスペインで59度、フランス南部で48度と測定されたとツイートしました。「これは夏だけではありません」と彼女は書いています。「それはただの地獄であり、もし私達が気候変動対策を怠り続ければ、もうすぐ人間の命の終わりになるでしょう。」

英国

英国の政府当局者は、気温が記録的な 40 度に達する可能性がある月曜日と火曜日の歴史上最も暑い日に備えて国を準備する必要があると警告しました。気象庁は異常な暑さに対して史上初の緊急警報を発令しました。これは、脆弱な人々だけでなく、健康な人々が病気や死にかかりやすくなる可能性があることを意味します。

この問題に関する2回目の緊急閣議が土曜日に開催され、熱波について話し合った。キット・マルトハウス(Kit Malthouse)内閣大臣は次のように言いました。英国は「学校、保健、緊急サービス、主要なイベント、英国の交通網の支援」を含む「適切な緊急事態」を確実に備えるよう求めています。

月曜日に、政府の勧告に反して、いくつかの学校が閉鎖され、遠隔学習に戻りました。

気象庁のスポークスマンのグレアム・マッジ(Grahame Madge)氏は、脆弱な親戚や隣人がいる人々にこう呼びかけました、「彼らが適切な対策を講じていることを確認するために... 何故ならば、予報が私達が考えているとおりであり、それが危険な警告エリアにあるのならば、人々の命は危険にさらされています。」

医療体制も厳しいです。 NHSプロバイダーの暫定副最高責任者のミリアム・ディーキン(Miriam Deakin)氏は、医療システム全体が「異常気象に対処するように構築されていない」ことを認めました. 手術室が必要な温度を維持できないため、一部の手術はキャンセルされました。

気温上昇で電車が運休します。ネットワーク・レール(Network Rail)社では、顧客に「絶対に必要な場合にのみ移動する」ことを求めています。

しかし、男性国会議員にはいくらかの安心感がありました：リンジー・ホイル(Lindsay Hoyle)下院議長は、今週、議場でジャケットとネクタイを着用する必要はないと言いました。

----- 出典 -----

www.politico.eudnyuz.comglobal-herald.comsportfarjam.com

----- 2022/07/16公開の記事を読んで -----

7月の末日は、日本各地で最高気温35℃以上の猛暑日を観測しました。

そして、熱帯夜も続いています。

体調管理には、どうぞお気をつけください。

欧州は何年かおきに熱波に襲われています。大陸の西海岸は乾燥[砂漠化]しやすい環境なので、暑いだけでなく、高温が引き金となっての山火事が深刻です。また、地域によっては、クーラー[エアコン]の設置が多くはないこともあり、事態を深刻化させています。

熱波... こうした気象現象が起こると「温暖化/温室効果ガス」のトピックが叫ばれますが、温室効果ガスが元凶としさえすれば、なにもかもが解決するのでしょうか。

2022 European heat waves - Wikipedia