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原子力推進が宇宙探査に大きく影響する革新になるだろうと、NASAチーフは言います


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原子力推進が宇宙探査に大きく影響する革新になるだろうと、NASAチーフは言います

(図 Nuclear Thermal Propulsion Reactor クレジットNASA) 核熱推進を動力源とする宇宙船のイラスト

 

そして、このテクノロジーは、小惑星デフレクタ・レーザーにも動力を供給することができます。

NASAの管理者のジム・ブリデンスティン(Jim Bridenstine)氏は、人類の次の大きな飛躍は次世代の原子力テクノロジーにより可能になると言いました。

本日(2019年8月20日)、全米宇宙協議会(NSC、National Space Council)の6回目の会議で、NASAチーフは核熱推進の可能性を称賛しました。核熱推進は、核分裂反応(fission reactions)によって放出される熱を利用し、水素などの推進剤を凄まじい速度に加速します。

このようなエンジンを搭載した宇宙船は、わずか3 - 4か月で火星に到達する可能性があります - 従来の化学推進力の乗り物の、最速での移動の約半分の時間になります。と、BWXテクノロジー(BWX Technologies Inc.)社の社長兼CEOで、NSCパネリストのレックス・ゲブデン(Rex Geveden)氏は言いました。

 

To Mars with Nuclear Rockets – from: 'Mars Calling' film

(3:36)  2018/08/20

 

そして、それはNASAにとって大したことで、2030年代に宇宙飛行士を火星に連れて行くために取り組んでいます。

「それは、NASAが達成しようとしていることへの、絶対的に大きく影響する革新(game-changer)です」と、ブリデンスティン氏は言います。「それは、地球と火星の間を移動するときの放射線量(radiation dose)について話すとき、本当に命を守る機会を与えてくれます。」

もちろん、地球の磁気圏(magnetosphere)の保護バブルから離れて、より長く宇宙飛行士が深宇宙で過ごせば、その線量は増加します。そして最近の研究は次のことを提示しています。火星に滞在する宇宙飛行士が蓄積した放射線量は、脳を傷つけ、気分に影響を与えますし、学習能力や記憶能力も同様です。

ブリデンスティン氏はまた、故郷に近い利用(applications)での核熱推進の有用性を強調しました。例えば動力の増加は、地球を周回するクラフトが、対衛星兵器(anti-satellite weapons)の攻撃ラインから抜け出す操舵ができる可能性があります、と彼は言いました。

このような兵器は中国とロシアの両方で開発されていますと、米国国家情報局(National Intelligence)局長代理(acting Director)のジョセフ・マグワイア(Joseph Maguire,)氏は、本日のNSC会議の間に言いました。

「両国の見解は、宇宙システムとサービス[諜報]を攻撃する能力は、戦闘で敵を阻止するか倒すためのより広範な努力の一環です。」と、マグワイア氏は言いました。「要するに、米国と関連宇宙システムへの脅威は、衰えずに成長し続けています。」

 

videos.space.com(4:31) 2019/08/20

 

国家安全保障の領域で、ゲブデン(Geveden)氏は次のように言いました。小型の核分裂原子炉はまた、前方および遠隔の軍事基地に送電網が不要な(off-grid)電力を提供できます。

「あなたは、確かにコンパクトなものを使うことを想像できます。例えば、指向性のエネルギー兵器(directed-energy weapon)に動力を供給する高温ガス炉です」と、ゲブデン氏は言いました。「[米国は現在]ディーゼル燃料(diesel fuel)を使用していますが、それは持続的な戦いで持続可能ではありません。」

彼は、ゲブデン氏に、もしそのようなテクノロジーを、向かってくる小惑星をそらせ、宇宙ジャンクの軌道を離れさせることに使用できるかどうかを尋ねました。どちらの場合も可能性は間違いなくある、とゲブデン氏は答えました。

その後、ブリデンスティン氏は、NSC議長のマイク・ペンス(Mike Pence)副大統領に目を向けました。「副大統領、アメリカ合衆国が活用すべき素晴らしい機会がここにある、と私は思います」と、ブリデンスティン氏は言いました。

国家は、既にその道を進んでいるでしょう。5月に、下院歳出委員会(House Appropriations Committee)は、NASAに223億ドルを割り当てる法案を承認しました - 核熱推進テクノロジーの開発のための1億2,500万ドルを含みます。議会はまた、2019会計年度も同じ目的で1億ドルを提供しました。

 

Powering a Habitat on Mars with Kilopower

(2:12) 2018/01/17

 

核熱推進と、放射性同位体熱電発電機(RTG、radioisotope thermoelectric generator)テクノロジーを混同しないでください。RTGは、プルトニウムの放射性崩壊により発生した熱を電気に変換し、そして宇宙船の機器やその他の装置に電力を供給します。NASAは何十年もの間RTGを使用しています;それらは、双子のボイジャー探査機(Voyager probes)、カッシーニ土星探査機(Cassini Saturn spacecraft)、キュリオシティ火星探査車(Curiosity Mars rover)を含めて、この機関で最も有名な惑星探査機の一部を動かしました。

その他の原子力テクノロジーは、将来の探査にも役立ちます。例として、研究者達は小さな核分裂炉を開発しています。それは、月と火星の辺境の植民地(outposts)に電力を供給することができます。もしNASAが希望するのならば、この「キロパワー反応炉」は、2022年の飛行実証の準備ができているでしょうと、プロジェクト・チームのメンバーは最近言いました。

NSCは、国家の宇宙政策の舵取りを助けます。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、2017年に評議会を復活させました;それは、1990年代初頭に最後に活動していました。

 

 

----- 出典 -----

www.space.com

 

----- 2019/08/29公開の記事を読んで -----

これまでの化学燃料の推進器だと、宇宙船に搭載できる燃料の量には限りがあり、長距離の航海には向きません。そこで、水素を加速して噴射するイオン・エンジンの実用化を目指しているようです。

  • これが人類の持っている最先端のテクノロジーなのでしょう

イオン・エンジンの電源として、太陽光発電(電池パネル)は太陽から遠ざかれば期待できませんから、原子力(核分裂の機構)など安定的な電源が要求されるということのようです。

  1. 冒頭で、さらりと触れられている「デフレクタ」には注目です。航行時に、宇宙の小さな天体(岩など)との衝突が想定されます。安全に航行するためには、この技術の確立が必須です。
  2. 放射線の生体への影響も触れられています。地球で生まれた生物が地球を離れたときの環境、つまり地球外での放射線量が危ういことを言っています。克服できるのでしょうか ?

宇宙旅行には、さまざまな問題がありますが、一歩一歩乗り越えて行くのでしょう。

 

----- パズルのピース -----

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