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奇妙な超流動は、現代の宇宙の存在を説明できる


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奇妙な超流動は、現代の宇宙の存在を説明できる

(図 Pixabay)  (Fig.) アーティクル・イメージ

 

宇宙の最初の瞬間に戻ると、すべてが高温で高密度で完璧なバランスでした。私達が理解しているような粒子はなく、星や、今日の宇宙に浸透する真空さえもわずかでした。宇宙全体は、均質で、形のない、圧縮されたもので満たされていました。

その後に何かがスリップしました。 その単調な安定性は総て不安定になりました。物質はその奇妙な従兄弟の、反物質に勝り、そして宇宙全体を支配するようになりました。その物質の雲が形成され、そして星に崩壊し、それが銀河に組織化されました。私達が知っていることは総て存在し始めました。

それで、宇宙をその無形の状態から傾けるために、何が起きたのでしょうか。  [量子もつれ(Quantum Entanglement)のしくみ(インフォグラフィック(Infographic)) ]

科学者達は、依然として確信が持てません。しかし研究者達は、初期の宇宙の大きな不均衡を引き起こしたかもしれない種類の欠陥を、実験室でモデル化する新しい方法を考え出しました。ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌に本日(2019年1月16日)に発表された新しい論文では、科学者達は次の事を示しました。彼らは過冷却(supercooled)ヘリウムを使って、それらの存在の最初の瞬間をモデル化することができます - 具体的には、ビッグバン(Big Bang)の直後に存在した可能性がある、1つの可能性のある条件構成を再現することです。

その問題は、何故ならば、宇宙は物理学者が「対称性」と呼ぶバランスの取れた行動で、宇宙は満たされているからです。

いくつかの主な例:物理方程式は時間の前進と後進に同じように機能します。宇宙には、総ての負に帯電した粒子を打ち消すために、ちょうど十分に正に帯電した粒子があります。

しかし時々、対称性は崩れます。針の先端のバランスのとれた完璧な球は、どちらか一方に落ちます。磁石の2つの同様な端は、北極と南極に分かれています。物質は初期の宇宙で、反物質以上に勝りました。特定の基本粒子は、初期の宇宙の無形性から出現し、そして別々の力を介して互いに相互作用します。

「もし私達が与えられたビッグバンの存在をとるならば、宇宙は間違いなくいくつかの対称性を破る変遷を経験しています」と、研究の主執筆者でフィンランド(Finland)のアールト大学(Aalto University)の博士課程の学生であるジェレ・マキネン(Jere Mäkinen)氏は、ライブ・サイエンス(Live Science)誌に伝えました。[ギャラリー:世界で最も美しい方程式]

証明が必要でしょうか。それは私達の周りの総てです。全部のテーブルと椅子、そして銀河と、カモのそれに似ているクチバシのあるようなカモノハシは、何かが初期の一様[フラット]な状態から現在の複雑さへと初期の宇宙を傾けたという証拠です。私達は、一様な間隙空間での可能性である代わりに、ここにいます。それで、何かがその対称性を破りました。

物理学者は、対称性を破るランダムな変動[ゆらぎ]の一部を「位相欠陥(topological defects)」と呼びます。

本質的には、位相欠陥は、それ以外の点では一様でないフィールド[場]で何かがおかしくなるスポット[場所]です。突然、混乱は出てきます。これは、実験室での実験のように、外部の干渉が原因で起こる可能性があります。または、それはランダムにそしてミステリアスに起こることができて、科学者達が初期の宇宙で起こったと疑うものです。位相欠陥が形成されると、一様な場の真ん中に座ることができて、それは滑らかな流れの中に波紋を作り出す岩のようです。

一部の研究者達は、次のように考えています。初期宇宙の形のないものの中の特定の種類の位相欠陥は、これらの最初の対称性の破れ遷移で役割を果たしたかもしれません。これらの欠陥は、「半量子渦(half-quantum vortices)」(渦巻のように見えるエネルギーと物質のパターン)と「ひも[紐]で囲まれた壁(walls bounded by strings)」(2つの1次元の「紐」によって両側を囲まれた2次元の壁から成る磁気構造)と呼ばれる構造を含んでいたかもしれません。これらの自然発生的な構造は、それ以外は対称的な系における物質の流れに影響を与えます。そして一部の研究者達は、これらの構造が、私達が今日見る星と銀河に宇宙をまとめる役割を果たしたのではないかと、疑っています。[アルバム:アメリカ最大の原子粉砕者(Atom Smasher)の舞台裏]

研究者達は、ラボ内の過冷却ガスおよび超伝導体(superconductors)の磁場中で、以前にこのような種類の欠陥を作成していました。しかし、欠陥は個別に現れました。現代の宇宙の起源を説明するために位相欠陥を使う理論のほとんどは「複合(composite)」欠陥を含みます、とマキネン氏は言いました - 複数の欠陥が協調して機能しています。

マキネン氏とその共著者達は、絶対零度を超える割合に冷却された液体ヘリウムを、小さなチャンバー[部屋]に押し詰める実験を計画しました。それらの小さな箱の暗闇の中では、過冷却ヘリウムに半量子渦が現れました。

そうして、研究者達はヘリウムの条件を変えました。  2種類の超流動体(superfluids)、または粘性(viscosity)のない流体の間で、一連の相転移(phase transitions)を起こすものです。これらは、固体から液体または気体への水の転換に似ているが、遥かに極端な条件下での相転移です。 [地球を破壊するトップ10の方法]

相転移は対称性を崩します。例えば、液体の水は、異なる方向に向きを変えることができる分子でいっぱいです。しかしその水を凍らせると、分子は特定の位置に固定されます。実験での超流動相転移についても、同様の対称性の破れが起こります。

超流動ヘリウムがその相転移を経た後に、依然として渦は残りました - ひもで囲まれた壁で保護されています。 一緒になって、渦と壁は複合的な位相欠陥を形成し、そして、対称性の破れの相転移をしませんでした。そのように、研究者たちは論文に書いています。これらの物体は次のことを反映しました。一部の理論が、初期宇宙で形成されることを示唆しています。

これは、マキネン氏と彼の共著者達が、初期宇宙で対称性がどのように破れたのかを、考え出したことを意味するのでしょうか。絶対違います。彼らのモデルは、初期宇宙がどのようにその形を取ったかの「大統一理論(grand unified theories)」の特定の側面 - 具体的には位相欠陥を含むそれらの理論の部分を、実験室で再現できることだけを示しました。これらの理論のどれも物理学者によって広く受け入れられていません。そしてこれは総て大きな理論上の行き詰まりなる可能性があります。

しかし、マキネン氏の研究は、ビッグバン(Big Bang)後の瞬間を形作るために、これらの種類の欠陥がどのように働いたのか、を調査するためのより多くの実験への扉を開きます。そしてこれらの研究は、間違いなく、科学者達に量子領域について新しいことを教えています、と彼は言いました。未解決の問題は残ります: 物理学者達は、小さな量子世界に関するこれらの詳細を、宇宙全体の振る舞いと決定的に結び付けることができるのでしょうか。

 

 

----- 出典 -----

www.space.com(出典のソース)

dx.doi.org

 

----- この記事を読んで -----

物性物理を基礎にした話です。低温物理、超伝導相転移、etc.
主題はビッグバンとなったきっかけとは何か、を探しています。始まりを考えるのは、とても興味深いです。
ビッグバンはあったのでしょうか、それとも無かったのでしょうか。
ビッグバンがあったと仮定すると、それは何だったのでしょうか。そして、もしもビッグバンが無かったするならば、永遠の過去から存在する宇宙とは何なのでしょうか。

 

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