ブログ | 知的好奇心ラウンジ

ブログ | 知的好奇心ラウンジ

知的好奇心なお散歩です

科学者達は、量子レーダーのプロトタイプを実証します


科学者達は、量子レーダーのプロトタイプを実証します

(図 Radar Pixabay by michaelqiao13591)

(Fig.) アーティクル・イメージ  量子レーダーのプロトタイプ

 

オーストリア科学技術大学(Institute of Science and Technology Austria、ISTオーストリア)の物理学者達は、物体検出の方法として、量子もつれ(quantum entanglemen)を使う新しいレーダー(radar)のプロトタイプを発明しました。 この量子力学(quantum mechanics)のデバイスへの統合の成功は、生物医学(biomedical)やセキュリティ産業に大きな影響を与えるかもしれません。この研究は、サイエンス・アドバンス誌(journal Science Advances)に掲載されています。

量子もつれは、2つの粒子が相互に接続されたままになる物理現象で、それらが互いにどの程度離れているかに関係なく、物理的な特性を共有します。 現在、オーストリア科学技術大学(ISTオーストリア)のヨハネ・スフィンク(Johannes Fink)教授の研究グループの科学者達、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology、MIT)と英国のヨーク大学(University of York)の共同研究者ステファノ・ピランドラ(Stefano Pirandola)氏、そしてイタリア(Italy)のカメリーノ大学(University of Camerino)のデビッド・ビタリ(David Vitali)氏とともに、もつれたマイクロ波光子(entangled microwave photons)を検出方法として利用するマイクロ波量子イルミネーション(microwave quantum illumination)と呼ばれる、新しいタイプの検出技術を実証しました。 量子レーダーとも呼ばれるプロトタイプは、古典的なレーダー・システムが故障することが多い、ノイズの多い熱環境で物体を検出できます。 このテクノロジーは、超低消費電力の生物医学イメージングと、セキュリティ・スキャナー(security scanners)に対して、可能性のある応用があります。

 

新たな検出形式としての量子もつれの使用

バイスの背景の動作原理は単純です:在来のマイクロ波を使用する代わりに、研究者達は、シグナル[信号]光子とアイドラー(idler)光子と呼ばれる2つのグループの光子をもつれさせます。 シグナル光子が対象のオブジェクトに向けて送られる一方で、アイドラー光子は、干渉とノイズのない相対的な隔離(relative isolation)で測定されます。 シグナル光子が反射して戻るとき、シグナル光子とアイドラー光子の間の真の絡み合いが失われますが、しかし、少量の相関関係が残っており、ターゲット・オブジェクトの存在かまたは不在を描写するサインかまたはパターンが作成されます - 環境内でノイズに関係ありません。

「私達が実証したのは、マイクロ波量子レーダーの概念の証明です」と、筆頭著者のシャビル・バルザンジェ(Shabir Barzanjeh)氏は述べます。彼は、彼の以前の研究は、量子増強レーダー・テクノロジー(quantum enhanced radar technology)の背後にある理論的な概念の進歩で貢献しました。「絶対零度( -273.14 °C )の、数千分の1度上で生成された量子もつれを使い、私達は、室温で低反射率(low reflectivity)のオブジェクトを検出することができました。」

 

量子テクノロジーは、古典的な低出力レーダーより性能が優れています

量子もつれ自体は本質的に脆い一方で、このデバイスには従来の古典的なレーダーよりも幾つかの利点があります。 たとえば、低電力レベルでは、従来のレーダー・システムは通常、感度が低くなります、これは、物体により反射された放射と、自然発生するバックグラウンドの放射ノイズとを区別するのが難しいからです。 量子イルミネーションはこの問題の解決策を提供します、これは、シグナル光子とアイドラー光子 - 量子もつれにより生成 - の類似点として、(対象のオブジェクトから受信した)シグナル光子を、環境内で生成されたノイズから区別することがより効果的になるからです。

現在カルガリー大学(University of Calgary)の、バルザンジェ助教授は述べます、「私達の研究の背後にある主なメッセージはこうです、量子レーダーまたは量子マイクロ波イルミネーション(quantum microwave illumination)は、理論的に可能なだけでなく、実践可能です。 同じ条件で古典的な低電力検出器に対してベンチマークしたとき、私達はこのとが分かります、とても低い信号の光子の数で、量子増強検出(quantum-enhanced detection)の方が優れている可能性があります。」

 

歴史を通して、基礎科学は革新やパラダイムシフト、そしてテクノロジーの躍進の重要な駆動力の1つでした。 依然として概念の証明ですが、グループの研究はこの新しい検出方法を効果的に実証しました、それは一部のケースでは、古典的なレーダーよりも優れているかもしれません。

「歴史を通して、私達がここで実証したような概念の証明は、将来のテクノロジーの進歩に向けた主要なマイルストーン(milestones)を、しばしば務めてきました。 特に、短距離マイクロ波センサー(short-range microwave sensors)への研究の、将来の影響を見るのは、興味深いでしょう。」と、バルザンジェ氏は述べます。

最後の著者でグループ・リーダーのヨハネス・フィンク教授は、こう述べます。「この科学的な結果は、この好奇心に駆り立てられた理論と実験の物理学者達を結集することによってのみ可能でした。それは、量子力学が、センシング(sensing)[感度]の基本的な限界を押し上げるのに、どのように役立つかです。 しかし、実際の状況で利点を示すには、私達には経験豊富な電気エンジニアの助けもまた必要です。そして、私達の結果を現実世界の検出タスクに適用できるようにするために、やるべきことが依然として沢山残っています。」

 

 

----- 出典 -----

phys.orgist.ac.atweaponews.comwww.engadget.com

 

----- 2020/05/08公開の記事を読んで -----

技術革新はあるもので、これまでのレーダーより高感度の探知ができるとのこと。 医学的な応用もあるのでしょうが、現在主流の軍用ステルス機が捕捉されることになると、大ごとになりそうです。

そして、ステルス機だけでなく、クローキングしているアレも探知できるのかも知れません。

 

量子レーダー - Wikipedia

レーダー - Wikipedia

 

----- パズルのピース -----

zzak.hatenablog.jp

zzak.hatenablog.jp

zzak.hatenablog.jp

zzak.hatenablog.jp