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138億歳の宇宙で461億光年先の距離をどうやって見られるのでしょうか


イーサンに尋ねる:138億歳の宇宙で461億光年先の距離をどうやって見られるのでしょうか

(図 The Big Bang クレジットNASA)  この画像は、ビッグバンから始まる宇宙の進化を表し、 赤い矢印は時間の流れを示しています。

(Fig.) アーティクル・イメージ  ビッグバン後、宇宙はほぼ完全に均一であり、急速に拡大する状態で物質、エネルギー、放射線に満ちていました。 時が経つにつれ、宇宙は星や銀河につながる要素、原子、塊やクラスターを形成するだけでなく、時間全体を拡大して冷却します。 宇宙は今日でも拡大を続けており、時が経つにつれ、年間6.5光年の空間であらゆる方向に成長しています。

 

もしも私達が宇宙で定数であると実験的に決定したことが1つあるのならば、それは真空中の光の速度(speed of light)ですc (と書きます)。光がどこに、いつ、どの方向に進むかに関係なく、毎秒299,792,458メートルで移動し、毎年1光年(約9兆km)の距離を移動します。ビッグバンから138億年経ち、あなたがこう期待するように導くかもしれません。私達が見ることができる最も遠い物体は138億光年離れています。しかし、それは真実ではないだけでなく、私達が見ることができる最も遠い距離は、遥かに3倍以上です:461億光年。どうすれば遠く離れたところを見ることができるのでしょうか。それは、アントン・シーパーズ(Anton Scheepers)氏とジェレ・シングルトン(Jere Singleton)氏が知りたいことです:

もしも宇宙の年齢が138億年であるのならば、138億光年以上離れた信号をどのように検出できるのでしょうか。

 

それは良い質問であり、あなたが答えるために少し物理学が必要です。

 

(Fig.1) 空間の3Dグリッド表現  時空の概念を考えると、これはフレーム依存の単純化ですが、空間を3Dグリッドとして視覚化することがよくあります。 実際には、物質とエネルギーの存在によって時空は湾曲し、距離は固定されず、宇宙が膨張または収縮するにつれて進化する可能性があります。

 

まず、私達が見ることができる最も遠い天体が、実際に138億光年離れている宇宙を想像することから始めます。

  • 天体は、時間の経過とともに互いに一定の距離を保っている
  • 空間の構造が動かず、時間の経過とともに拡大も縮小もしない
  • そして、任意の2点の間を光が宇宙をまっすぐに伝搬します、物質、エネルギー、空間曲率、または他の何かの影響により、迂回または影響を受けることはありません

もしあなたが、宇宙が - x、y、z軸を持つ - 3次元グリッドであると想像するのならば、ここに空間自体は固定され変化しません、これは実際に可能です。 天体が遠い過去に光を放出し、その光が私達の目に到達するまで宇宙を通過し、そして私達は、光が通過した「光年」の年数として、同じ数の「年」を後で受け取ります。

 

(Fig.2 Observable Universe (blank) ウィキメディア経由CC3.0 クレジット Andrew Z. Colvin)

静的で変化しない宇宙では、総ての天体が全方向に光を放出し、その光は光速で宇宙全体を伝播します。138億年が経過した後、光が伝わる可能性のあった最大距離は138億光年になります。

 

残念ながら私達にとって、これら3つの仮定は総て正しくありません。手始めに、天体は一定で互いに固定された距離に留まらず、むしろそれらが占める空間を自由に移動できます。宇宙にある総ての巨大でエネルギーを含む天体の相互重力効果は、それらを動き回って加速させ、質量の群を銀河や銀河団のような構造にまとめますが、一方で他の地域では物質がなくなります。

これらの力は極めて複雑になり、星やガスを銀河から蹴り出し、極超高速の超高速天体を創り、そしてあらゆる種類の加速を作成します。私達が知覚する光は、観察している物体に対して私達との相対速度に応じて、赤方偏移(redshifted)または青方偏移(blueshifted)します。そして光の移動時間は、必ずしも任意の2つの天体の間の、実際の現在の距離と同じではありません。

 

(Fig.3 Velocity0 70c ウィキメディア経由CC3.0 クレジットen:TxAlien)  観察者に対して相対的に動く発光物体は、それが発する光を観察者の位置に応じて偏移させて見える。 左側の誰かが光源がそこから遠ざかるのを見るので、光は赤方偏移します。 光源の右側にいる人は、光源がそれに向かって移動するにつれて、青方偏移またはより高い周波数に偏移するのを目にします。

 

この最後のポイントはとても重要です、何故ならば、空間が静的で、固定され、不変である宇宙でさえ、それでも天体は移動できるからです。私達は、極端なケースも想像できます:約138億年前に138億光年離れていた天体ですが、しかし、光速にとても近い速度で私達から遠ざかっていました。

その光は依然として光の速度で私達に向かって伝播し、138億光年[の距離]を138億年の期間で移動します。しかし、その光が今日届くとき、天体は最大で2倍離れている可能性があります:それが、任意に光速に近く私達から遠ざかったのならば、最大276億光年離れています。空間の構造が時間とともに変化しなかったとしても、今日目にすることができる天体はたくさんあり、138億光年よりはるかに遠いかもしれません。

唯一の難点はこうです。それらの光はせいぜい138億光年移動します;その光を放射した後の天体の動きは、無関係です。

 

(Fig.4 Speed of Light Pixabay by Melmak)  真空中の光は、観測者の速度に関係なく、常に同じ速度、つまり光の速度で動くように見えます。 遠くの物体が光を発してからすぐに私達から遠ざかった場合、今日の光の移動距離の2倍の距離になる可能性があります。

 

しかし、どちらかと言えば空間の構造も一定ではありません。これはアインシュタイン(Einstein)氏の大きな啓示で、これにより一般相対性理論(General theory of Relativity)の公式化に彼を導きました:空間も時間も静的かまたは固定でしたが、代わりに時空(spacetime)として知られるファブリック(fabric)を形成しました。時空の特性は、宇宙に存在する物質(matter)とエネルギーに依存していました。

もしもあなたが、平均して、何らかの形の物質またはエネルギー - ノーマル・マター(normal matter)、ダークマター(dark matter)、光子(photons)、ニュートリノ(neutrinos)、グラビテーショナル・ウエーブ(gravitational waves)[重力波]、ブラックホール(black holes)、ダークエネルギー(dark energy)、コズミック・ストリング(cosmic strings)、またはそれらの任意の組み合わせかどうかに関係なく - で比較的均等に満たされた宇宙を取るのならば、空間のファブリック自体が不安定なことがわかります: それは、静的で変化しないままにすることはできません。 代わりに、拡張かまたは縮小のいずれかでなければなりません;天体の間の大きな宇宙距離は、時間とともに変化しなければなりません。

 

(Fig.5) 吸収スペクトルと偏移  1917年にヴェスト・スリファー(Vesto Slipher)氏により最初に指摘されました。私達が観測した天体のいくつかは、特定の原子、イオン、または分子の吸収または放出のスペクトル・シグネチャを示していますが、光スペクトルの赤または青の端に向かって系統的にシフトしています。 ハッブルの距離測定と組み合わせると、このデータは拡大する宇宙の最初のアイデアを生み出しました。銀河が遠くにあるほど、その光の赤方偏移は大きくなります。

 

1910年代と1920年代に始まり、観測がこの状況を確認し始めました。私達は、空の渦巻状と楕円形の星雲(nebulae)が、私達を超えた銀河なことを発見しました; 私達は、それらまでの距離を測定しました; 私達は、それらが遠くにいるほど、それらの光がより大きく赤方偏移していることを発見しました。

アインシュタイン一般相対性理論の文脈で、これは確かな結論を導きました:宇宙は拡大していました。

これは、人々が一般的に理解しているよりもさらに奥深いです。空間のファブリック自体は、時間の経過とともに一定ではなく、むしろ拡張し、互いに離れて重力で束縛されていない天体を押します。それはまるで個々の銀河と銀河のグループ/クラスターのようで、目に見えない(空間のような)パン生地(dough)の海に埋め込まれた干しブドウ(raisins)で、そしてパン生地が膨らんだときに、干しブドウはバラバラに離されます。これらの天体の間の空間は拡大し、これが原因で、個々の天体は互いに退く(recede)ように見えます。

 

(Fig.6 Raisinbread ウィキメディア経由パブリックドメイン)   拡大する宇宙の「レーズンパン」モデル。空間(生地)が拡大するにつれて相対距離が増加します。 2つのレーズンが互いに離れているほど、光を受け取るまでに観測される赤方偏移が大きくなります。 拡大する宇宙によって予測された赤方偏移と距離の関係は、観測結果に裏付けられており、1920年代からずっと知られているものと一致しています。.

 

これは、私達の観察の背後にある意味に、大きな影響を与えます。私達が遠くの物体を観察するとき、私達はそれが発した光が見ているだけではなく、光源と観測者の相対速度によって偏移された光を見ているだけでもありません。代わりに拡大する宇宙が、光の移動のあらゆる場所で発生した拡大する空間の累積効果が、この光にどのようにして影響したのか私達は分かります。

もしも私達が、私達が見ることができる過去の絶対的な限界を調査したいのならば、私達は、可能な限り138億年前に放出された光を探します。それは今日私達の目にちょうど到達していました。私達が今見ている光に基づいて、計算します:

  • 光が移動した時間
  • その時から今までの間に、宇宙がどれだけ拡大したのか
  • 宇宙に存在する総ての異なる形のエネルギーを、説明する必要があります
  • 拡大する宇宙について私達が知っている総てで、天体は今日どのくらい離れていなければならないでしょうか。

 

(Fig.7) 離れる2つの銀河で、観測される光 (GIF)  この簡略化されたアニメーションは、光の赤方偏移と、結合されていない天体の間の距離が、拡大する宇宙で時間とともにどのように変化するかを示しています。 次のことに注意してください。天体は、光がオブジェクト間を移動するのにかかる時間よりも近くから始まり、空間の拡張により光の赤方偏移が発生し、そして2つの銀河は、交換された光子がたどる光の移動経路よりも遥かに離れてしまいます。

 

この時点で、私達は少数の天体に対してこれを実行しただけでなく、文字通り数百万に対して実行しました。私達の宇宙の裏庭から300億光年以上離れた天体までの距離の範囲まで及んでいます。

天体は、どうやって300億光年以上離れられるのでしょうか、あなたは尋ねます。

何故ならば、任意の2点間の空間 - 私達と私達が観測している天体のような - が、時間とともに拡大するからです。 私達が今まで見た中で最も遠い天体は、134億年の間、私達に向かって光の旅[移動]をしてきました; ビッグバンからわずか4億7000万年後か、または宇宙の現在の年齢の3%だったときの光を、私達は見ています。私達が観測する光は、約12ファクターの赤方偏移をします、これは観測された光の波長が放出時と比較して1210%だからです。そして、(放たれた光の)134億年の旅の後、その天体は現在では約321億光年離れており、宇宙の拡大と一致しています。

 

(Fig.8 Hubble Team Breaks Cosmic Distance Record クレジットNASA,ESA,..)  知られている宇宙でこれまでに発見された最も遠い銀河、GN-z11、その光は私達に来ています:宇宙が3%しかなかったとき、現在の年齢は4億700万歳です。この銀河から私達までの距離は、拡大する宇宙を考慮に入れると、信じられないほど321億光年です。

 

私達が取った観測の完全な揃い(suite) - 赤方偏移や天体の距離だけでなく、ビッグバン(Big Bang)から残った輝き(宇宙のマイクロ波のバックグラウンド)、銀河のクラスタリング(clustering)[集団化]と宇宙の大規模構造の特徴、重力レンズ(gravitational lenses)、衝突する銀河団(clusters of galaxies)、星が形成される前に創られた軽い元素の豊富さ、など - に基づいて、宇宙の構成要素と比率を決定できます。

 

(Fig.9) 距離/赤方偏移の関係  Ia型の超新星から見た、総ての最も遠い天体を含む距離/赤方偏移の関係。データは加速する宇宙を強く支持しています。 これらの線は、さまざまな成分で作られた宇宙に対応しているため、総てが互いに異なっていることに注意してください。

 

今日の、私達の最良の推定は、私達が以下で構成される宇宙に住んでいることです:

これは私達が持っているすべてのデータに適合し、そしてビッグバンの瞬間からさかのぼる、ユニークな拡大の歴史を導きます。これより、私達は、目に見える宇宙のサイズについて、一意の値を1つ抽出できます:全方向で461億光年です

 

(Fig.10) 目に見える宇宙(黄色)のサイズと、到達できる量(マゼンタ)  私達の目に見える宇宙(黄色)のサイズと、到達できる量(マゼンタ)。 可視宇宙の限界は461億光年です。これは、今日私達に到達するだけの光を放出する天体が、138億年の間私達から遠ざかった後の距離だからです。

 

もしも、私達が138億年前の宇宙で見ることができるものの限界が本当に138億光年だとしたのならば、それは次の両方の異常な証拠になるでしょう、一般相対性理論が間違っており、かつ、天体は時間とともに宇宙である場所からより離れた場所に移動することができませんでした。 圧倒的な観察証拠はこう示しています、天体は移動し、一般相対性理論は正しく、宇宙は膨張し、ダークマターダークエネルギーの混合により支配されています。

あなたが、知られていることの完全な揃いを考慮に入れるとき、私達はこの宇宙を発見します、約138億年前に熱いビッグバンから始まり、それ以来拡大し続けています。そして、その最も遠い光は、現在461億光年離れた場所にある天体から私達に届くことができます。私達自身と、私達が観察する遠くのその結合されていない天体との間の空間は、最も遠い宇宙の境界地帯(frontier)で、毎年6.5光年の割合で拡大し続けています。時間が過ぎるにつれて、宇宙の遠い範囲は、私達の把握した理解からさらに退きます。

 

 

----- 出典 -----

medium.comdevelop.bigthink.comwww.forbes.com

 

----- 2020/01/25公開の記事を読んで -----

ビッグバンから138億年が経過しているとのこと(宇宙の年齢)。その間にも宇宙は広がり(膨張し)続けており、広がって(遠ざかって)いる最中の天体から放たれた光を、観測する私達も広がり(遠ざかり)ながら受け取っています。こんな事情で宇宙の大きさを見積もると、461億光年くらいになっているとのことです。

こうしている今も広がり続けています。

私達のテクノロジーでは、光(電磁波)を受け取ることで観測ができます。遠すぎて、未だ届いていない光があると観測できていないことになります。その光が届くまで、1年先か、10年先か、100年先か... 現時点では観測できていない領域があることになります。

ここで質問です、宇宙が膨張できている辺境の外側、そこには宇宙(時空)とは呼ばない何かが広がっているのでしょうか。

宇宙の果て、どうなっているのでしょう...

 

観測可能な宇宙 - Wikipedia

 

----- パズルのピース -----

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