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新たな「アインシュタイン」方程式が、ワームホールが量子重力の鍵を握っていることを提示


新たな「アインシュタイン」方程式が、ワームホールが量子重力の鍵を握っていることを提示

(図 Wormhole Pixabay by meztlivaleriano)

(Fig.) アーティクル・イメージ

 

ER = EPR は、もつれ(entanglement)と時空(spacetime)を理解するための新しい手がかりを要約したものです

 

最近、アインシュタイン(Einstein)氏を誇りに思う新たな方程式が物理学の世界に浮かんでいます。

覚えるのはとても簡単です: ER=EPR。

あなたはこう怪しいと思うかもしれません、この方程式を成り立たせるには、Pを1に等しくする必要があります。 しかし、この方程式の記号は数字ではなく名前を表しています。 Eは、おそらくあなたの推測したように、アインシュタイン氏の略です。 RとPはイニシャルで - アインシュタイン氏の最も興味深い2つの論文の共同研究者に対してです。 この方程式で組み合わせると、これらの文字は、アインシュタイン一般相対性理論(general relativity)と量子力学(quantum mechanics.)を調整するための可能な進路を表しています。

量子力学一般相対性理論はどちらも華々しく成功した理論です。 どちらも、現実の伝統的な概念に反抗し奇妙な現象を予測します。 それでもやはり、テストにかけるとき、自然は常に各理論の要件に従います。 どちらの理論も自然をよく描写しているので、それらが、それらを数学的に統合するための総ての努力に、抵抗した理由を説明するのは難しいです。 どういうわけか、誰もがこう信じています、それらは最終的に組立てられなければなりません。 けれども、これまでのところ、自然は、それらの接続の形式の秘密を保っています。

 

(図 LorentzianWormhole ウィキメディア経由CC3.0 クレジットAllenMcC.)

 

しかしながら、ER=EPRは次のことを提示しています。それらの接続への鍵は、ワームホール(wormholes)として知られている時空のトンネルで見つかります。 アインシュタイン一般相対性理論により暗示されるこれらのトンネルは、離れた場所を物理的にリンクする、亜空間(subspace)の近道のようなものです。 このようなトンネルは、量子もつれ(quantum entanglement)として知られている亜原子粒子(subatomic particles)間の不思議なつながりの親友かもしれないようです

過去90年くらい、物理学者達は、2つの主要な量子問題を別々に追求してきました: 1つは、その奇妙さ(もつれなど)を理解するための量子数学の解釈方法で、2つ目は、量子力学を重力と結合させる方法です。 もしも ER = EPR が正しいのならば、両方の質問の答えは同じことが判明します: 量子の奇妙さは、あなたが重力との関係を理解している場合だけ、理解できます。 ワームホールはそのリンクを模造するかも知れません。

 

ワームホールは、技術的にはアインシュタイン=ローゼン・ブリッジ(Einstein-Rosen bridges、方程式の「ER」部分)として知られています。 ネイサン・ローゼン(Nathan Rosen)氏は、1935年にアインシュタイン氏と協力してそれらを説明する論文(a)を発表しました。 EPRは、ボリス・ポドリスキー(Boris Podolsky)氏と一緒に、1935年にローゼン氏と共に出版されたアインシュタイン氏の別の論文(b)を指します。 その1つは、現実の性質についての量子もつれの逆説的なパズルを関連付けるものでした。 何十年もの間、誰もこの可能性を真剣に考えていませんでした、2つの論文はお互いに何らかの関係がありました。  しかし、2013年に、物理学者のフアン・マルダセナ(Juan Maldacena)とレオナルド・サスキンド(Leonard Susskind)がこう提案しました、ある意味で、ワームホールともつれは同じことを表しています

最近の論文(c)で、サスキンド氏は、この実現の含意の一部を詳細に説明しています。 それらの中で: ワームホール=もつれが等しいことの理解は、量子力学一般相対性理論を統合するための鍵となり得ます。統合の詳細は、もつれの謎を説明するでしょうし、その時空自体が量子もつれから出現し得ます。そして量子力学を解釈する方法をめぐる論争は、その過程で解決できることがあり得ます。

「ER=EPR は、私達に次のことを教えてくれます。宇宙を構成するもつれたサブシステム(subsystems)の莫大に複雑なネットワークはまた、アインシュタイン=ローゼン・ブリッジの莫大に複雑な(そして技術的に複雑な)ネットワークです」と、サスキンド氏は書いています。 「私には、次のことは明らかなようです。もしも ER=EPR が真ならば、それはまさに一大事ですし、それは量子力学の基礎と解釈に影響を与える必要があります。」

 

もつれは、量子物理学を理解するために最大の障害の1つを提起します。 例えば、2つの粒子が共通の発生源から放出されたときに起こります。 そのような粒子ペア(pair)の量子記述は、あなたに次のオッズを教えてくれます。粒子の1つの測定(例えば、そのスピン(spin))は、特定の結果を与えます(例えば、反時計回り)。 しかし、ペアの一方のメンバーが測定されると、あなたが他方で同じ測定をするとき、それがどんなに遠くても、あなたは結果がどうなるかを即座に分かります。 アインシュタイン氏はこの認識に難色を示し、こう主張しました、一方の場所での測定は遠い実験に影響を与えられません (彼の有名な「離れた場所の気味の悪い作用(spooky action at a distance)」の非難を呼び起こしました)。 けれども、多くの実際の実験(d)は、アインシュタイン氏の好みに逆らうもつれの力(power)を確認しました。 (アインシュタイン氏が主張したように)情報は、一方の粒子から他方の粒子に瞬間的に送れませんが、それにもかかわらずそれらの一方は、そのもつれのパートナーに何が起きたのかを「知っている」ようです。

通常、物理学者達は2つの粒子間のもつれについて話します。 けれども、それは最も単純な例にすぎません。 サスキンド氏はこう指摘しています、量子場 - 粒子が作られているもの - はまた、もつれ合えます。 「場の量子論(quantum field theory)の真空中で、空間の互いに素(disjoint)な領域で量子場(the quantum fields)はもつれ合っています」と、彼は書いています。 それは、真空中で絶えず存在したり消えたりする「仮想(virtual)」粒子の、よく知られている(奇妙ならば)出現と関係があります。 これらの粒子は、文字通りどこからともなく)ペアで現れます。 それらの共通の起源はこう保証します、それらがもつれ合っています。 それらの短命の生涯で、それらは時々実際の粒子と衝突し、その後、もつれ合ったそれら自身になります。

 

ここで、こう仮定します、これまでに想像された最も有能な量子実験者だと例外なく認められているアリス(Alice)とボブ(Bob)が、真空中でこれらの実際にもつれ合った粒子の収集を始めます。 アリスは各ペアの一方のメンバーを取り、ボブが他方のメンバーを取ります。 それらは別々に離れた宇宙の領域に飛び去り、そうして、各々がそれらの粒子を大変に高密度に押しつぶし、それらはブラックホール(black hole)になります。 これらの粒子がもつれ合っているので、アリスとボブは今、2つのもつれ合ったブラックホールを創りました。 もしも、ER = EPR が正しいのならば、ワームホール(wormhole)はそれらのブラックホールをリンクします; それ故に、もつれは、ワームホール幾何学(geometry)を使用して記述できます。 「これは注目に値する主張で、その影響はまだ評価されていません」と、サスキンド氏は書いています。

さらに注目するのは、次の可能性だと彼は提示しています。2つのもつれ合った亜原子粒子(subatomic particles)だけが、ある種の量子ワームホール(quantum wormhole)により、それら自身が何らかの形で接続されています。 ワームホールは時空幾何学の - アインシュタインの重力方程式(gravitational equations)により記述されます - ゆがみなので、量子もつれでそれらを識別することは重力と量子力学の間に繋がりを作り上げます。

 

とにかく、これらの発展は、現実を理解するためのもつれの重要性を確実に強調しています。 特に、ER = EPR は、量子力学をどのように解釈すべきかについて論争の議論に光を当てます。 標準的な量子の学識(コペンハーゲン(Copenhagen)解釈)は、観測者の役割を強調しています。それは測定を行うとき、複数の量子の可能性が1つの明確に限定された結果に「崩壊」します。 しかし、競合するエベレット(Everett)の(または「多世界(many worlds)」)解釈は次のことを言っています。複数の可能性が総て起こります - 任意の観測者は、複数の可能な出来事の矛盾のない分岐連鎖の1つだけを、たまたま経験します。

エベレットの記述では、可能性の雲(cloud of possibilities) (波動関数(wave function) )の崩壊は決して起こりません。 相互作用(つまり、測定)は、まさに相互作用する実体にもつれを引き起こします。 そうして、現実は「もつれの複雑なネットワーク」になります。 原理として、これらのもつれ合う出来事は総て元に戻せます、そうなので実際に崩壊するものはありません - または少なくとも、こう言うのは誤解を招くでしょう、崩壊は不可逆(irreversible)です。 なお、不可逆崩壊の標準的な見方は、実際問題としてかなりうまく働きます。 実生活で起こる多数の複雑な相互作用を、元通りにすることは決して実行できません。 言い換えれば、サスキンド氏はこう言います、ER = EPR は次の提示をします。量子現実の2つの見方は「補完的」です。

サスキンド氏は、複数の参加者とのもつれ合いが機能する方法を、技術的に詳細に調査し続け、そして、もつれがワームホールと同等であると見なすことに対する含意を説明します。 例えば、次のことは確かなままです。ワームホールは、光よりも早く宇宙を通して信号を送るために使用できません。 例えば、アリスとボブは、彼らのブラックホールをつなぐワームホールを通して互いにメッセージを送れません。 ですが、もしも彼らが本当に話したいのならば、彼らは、各々が彼らのブラックホールに飛び込み、そしてワームホールの中央で会えます。 このような出会いは、ER=EPR のアイデアを強力に確認するものですが、でも、アリスとボブは、それについて公開された論文を手に入れるのに苦労するでしょう。

 

その間に、ER=EPR や重力 - 時空の幾何学 -を量子もつれに関連付けるその他の研究について、かなり多くの論文が現れています(e)。 最近のある論文では(f)カリフォルニア工科大学(Caltech)の物理学者チョンジュン・カオ(ChunJun Cao)氏、ショーンM.キャロル(Sean M. Carroll)氏、スピリドン・ミハラキス(Spyridon Michalakis)氏は、次のことを示そうとしています。どのようにして、真空中の量子もつれの莫大なネットワークから時空を「構築」できるか。 「この論文では、私達は、もつれを使った内因的に量子的な記述から、空間自体の存在と特性を導き出すことに向けて、対策を施します」と、彼らは書いています。 彼らはこう示しています、どのようにして、「量子状態」の変化 - 現実の純粋な量子記述 - が、時空の幾何学の変更にリンクできるのか。 「この意味で」彼らはこう言います、「重力は、自然な方法で量子力学から発生するようです。」

カオ氏、キャロル氏、ミハラキス氏はこれを認めています、彼らのアプローチは不完全なままであり、後に検証する必要がある仮定が含まれています。 「ここで私達が行ったことは、極めて予備的かつ推測的です」と、キャロル氏は最近のブログ投稿(g)で書いています。 「私達は、何かの完全な理論を持っていません、そして私達が持っているものでさえ沢山の推測を伴い、まだ十分に厳密な計算がされていません。」

それにもかかわらず、多くの物理学者達の間にはこの明確な感覚があります、量子力学と重力を統合する道が明らかに開かれたようです。キャロル氏はこう述べています、もしもそれが正しい道ならば、量子力学から重力を得るのはまったく難しいことではないことが判明します - それは「必然的」です。 そしてサスキンド氏はこう考えています、量子重力(quantum gravity)への道 - ワームホールを通る - は、次のことを示しています。2つの理論の統一は、科学者達が思っているよりも深いです。 彼はこう述べます、ER = EPR の含意は、「量子力学と重力は、私達(または少なくとも私)が想像していたよりも、遥かに密接に関連しています。」

 

 

----- 出典 -----

www.sciencenews.orgwww.businessinsider.comwww.sci-nature.vipwww.sciencealert.com

 

----- 2016/08/17公開の記事を読んで -----

少々、専門的なのでお蔵入りさせていました。よく分かっていない量子もつれ(クォンタム・エンタングルメント)と、こちらもよく分かっていないワームホールが、本質的に同じことかもしれないという研究です。

そうだとするならば、真空だと思っていた空間は穴だらけ? で、各々の穴の向こうの何かと接続していることになるのでしょうか。面白い。

よく分かっていないから研究しているのですが... ワームホールは一方通行なので、そのあたりどうなのでしょうか。

あり得そうな仮説を発信しても、研究だと、陰謀論扱いはされない... ですね。

 

----- パズルのピース -----

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