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各々のブラックホールには、別の宇宙が含まれているのでしょうか


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各々のブラックホールには、別の宇宙が含まれているのでしょうか

(Fig.) Centaurus A クレジットNASA

 

そして、私達の宇宙は、別の宇宙のブラックホール(black hole)に居座るかもしれません、方程式が予測します。

今度は、超微視的なものから超巨大なものに至るまで、私達の宇宙で見つかった総てのブラックホールは、別の現実に出くわすかもしれません。

マインド・ベンディング(mind-bending)[特に幻覚をもたらす際に強烈に心に影響を及ぼすさま]の新しい理論によれば、ブラックホールは、実際にはワームホール(wormhole)の一種である宇宙の間のトンネルです。ブラックホールが引き付けた物質は、予想されているように一点に入り崩壊しませんが、むしろブラックホールの他方の端の「ホワイトホール(white hole)」を噴出させる理論が進んでいます。

 (参照)

news.nationalgeographic.com

物理学レターB(Journal Physics Letters B)誌に掲載された最近の論文では、インディアナ大学(Indiana University)の物理学者ニコデム・ポラフウスキ(Nikodem Poplawski)氏は、ブラックホールに落ちる物質の螺旋運動の新しい数学的モデルを示しています。彼の方程式は、このようなワームホールは、アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)氏がブラックホールの中心にあると予測した「時空のシンギュラリティ(space-time singularities)」に対する実行可能な選択肢なことを示唆しています。

アインシュタイン一般相対性理論の式によれば、シンギュラリティ[特異点]がブラックホールの超高密度な心臓部で起こるように、特定の地域の物質が高密度になるたびにシンギュラリティが作られます。

アインシュタインの理論は、シンギュラリティが空間を占めず、無限に密であり、無限に熱いことを示唆しています。数多くの間接的証拠によって支持されている概念ですが、それでも奇妙なもので、多くの科学者が受け入れがたいと感じています。

もしポプラウスキ氏が正しければ、もはやそうではないかもしれません。

新しい方程式によれば、ブラックホールが吸収し、一見破壊する物質は、実際には追放されて、別の現実の中で銀河、星、惑星の構成要素になります。

 

ワームホールはビッグバン(Big Bang)のミステリーを解きますか。

現代の宇宙論では、ホワイトホールのようなブラックホールの概念は、いくつかのミステリーを説明できる可能性があると、ポプラウスキ氏は述べました。

例えば、ビッグバン理論は、宇宙がシンギュラリティとして始まったと言います。しかし、科学者達には、そのような特異点が最初に形成された可能性があるかについて満足のいく説明はありません。

プラウスキ氏は、私たちの宇宙がシンギュラリティの代わりにホワイトホールで生み出されならば、「ブラックホールのシンギュラリティのこの問題と、ビッグバンのシンギュラリティも解決するでしょう」と述べました。

ワームホールガンマ線のバースト(gamma ray bursts)を説明するかもしれません。それはビッグバン後の宇宙での2番目に強力な爆発です。

ガンマ線のバーストは、既知の宇宙の周縁で発生します。それらは遠くの銀河で超新星や星の爆発と関連しているようですが、それらの正確な源はミステリーです。

 

プラウスキ氏は、バーストが互い違いの宇宙からの物質の流出であるかもしれないと提案しています。この物質は、それらの銀河の中心部の超大型のブラックホール、すなわちワームホールを通して、私達の宇宙に逃げているかもしれないと彼は言います。どのようにそれが可能かは明らかではありません。

「それは突拍子も無い考えですが、誰が知っているのでしょうか」と彼は延べました。

 

プラウスキ氏の理論をテストするには、少なくとも1つの方法があります: 私達の宇宙のブラックホールのいくつかは回転しています。そして同様に私達の宇宙が回転するブラックホールの中で生まれたならば、私達の宇宙は親の天体の回転を継承しているはずです。

もし将来の実験で、私達の宇宙が好ましい方向に回転しているように見えるのならば、彼のワームホール理論を支える間接的な証拠となるでしょうと、ポプラウスキ氏は述べました。

ワームホールは「エキゾチックな物質(反物質のこと)」メーカーでしょうか。

物理学者によれば、ワームホール理論は、次ぎの説明を助けるかもしれません。なぜ私達の宇宙の確かな特徴が、理論の予測から外れるのでしょうか。

物理学の標準モデルに(standard model of physics)基づけば、ビッグバンの後、宇宙の湾曲は時間の経過と共に増加しているはずで、その結果から今は137億年後で、閉じた球の宇宙の表面に居座っているように見えるはずです。

しかし、観察では、宇宙があらゆる方向に平坦に見えることを示しています。

さらには、極めて初期の宇宙からの光のデータは、ビッグバン直後の総ては、大部分が均一な温度だったことを示しています。

私達が宇宙の反対側の地平線で見る最も遠い物体は、封鎖されたチャンバー内のガスの分子のように、一度相互作用して平衡に達するのに十分に近くなることを意味するでしょう。

再び、観測値は予測値と一致しません。既知の宇宙の中で互いに最も離れている天体は、光の速度でそれらの間を移動するのにかかる時間は、宇宙の年齢を超えてしまうからです。

矛盾を説明するために、天文学者達はインフレーション(inflation)の概念を考案しました。

インフレーションの状態は、宇宙が創設された直後に起こりました。急速な成長を遂げ、その間に宇宙そのものが光速より速く拡大しました。この拡大は、原子よりも小さいサイズから数分の1秒で、天文学的な比率に宇宙を伸ばしました。

したがって、宇宙は平坦に見えます。なぜなら、私達が居座っている球は私達の視点から非常に大きいからです。- それは地球の球が、畑に立っている人にとっては平らなように見えるのと同じです。

また、インフレーションは、互いに遠く離れた天体がどのようにして、一度は相互作用するのに十分接近したかを説明します。

しかし - インフレが本当であると仮定すると - 天文学者達は、それが原因で何が起こったのかを説明するためにいつも苦慮してきました。そこに新しいワームホール理論が登場します。

プラウスキ氏によれば、一部のインフレーションの理論は次のように言います。イベントは、通常の物質とは異なる理論的物質である「エキゾチックな物質(exotic matter)」によって部分的に引き起こされたものです。なぜなら、それは重力によって引きつけられるのではなく反発するからです。

彼の方程式に基づいて、ポプラウスキ氏は、最初の巨大な星のいくつかが崩壊してワームホールになった時に、そのようなエキゾチックな物質が作られたかもしれないと考えています。

ワームホールを形成するエキゾチックな物質と、インフレーションの引き金になるエキゾチックな物質とは、何らかの関係があるかもしれない」と彼は述べました。

 

ワームホール方程式は「現実の解(Actual Solution)」

新しいモデルは、ブラックホールの中に他の宇宙が存在することを最初に提案するものではありません。アリゾナ州立大学(Arizona State University)の理論物理学者、ダミアン・エアソン(Damien Easson)氏は、これまでの研究で推察を行いました。

「ここで何が新しい事なのかというと、一般相対性理論における実際のワームホール解法で、それはブラックホールの外側から新しい内部宇宙への通路として機能します」と、エアソン氏は述べました。彼は新しい研究に関与していませんでした。

「私達の論文では、そのような解決策が存在する可能性があると推測しましたが、ポプラウスキ氏は実際の解決策を見つけました」とエアソン氏は述べ、ポプラウスキ氏の方程式を参照しました。

それにもかかわらず、この考えは依然としてとても推測的であるとエアソン氏は電子メールで述べています。

「この考えは可能でしょうか。はい。シナリオは可能でしょうか。わかりませんが、確かに興味深い可能性があります」

量子重力での将来の研究 - 原子レベルでの重力の研究 - は、方程式を改良し、ポプラウスキの理論を潜在的に支持するか反証する可能性があります」と、エアソン氏は述べました。

 

ワームホール理論は画期的なものではありません

全体として、ワームホール理論は面白いですが、私達の宇宙の起源を説明する画期的なものではありませんでしたと、カリフォルニア大学デイビス校(University of California, Davis)の物理学者、アンドレアス・アルブレヒト(Andreas Albrecht)氏は述べました。彼は、新しい研究にも関わっていませんでした。

私達の宇宙は親の宇宙からの物質の湧き出たものによって作られたと言って、この理論は、元の創造イベントを代わり現実に単純にシフトさせています。

言い換えれば、それは親の宇宙がどのようになったのか、それが持っている特性を持っている理由を説明していません - 私達の宇宙の特性はおそらく継承されています。

「私達が解決しようとしている厳しい問題があります。これらの何れもそれを進める方法を提供していることは明らかではありません」と彼は述べました。

依然として、アルブレヒト氏は、ブラックホールのシンギュラリティの考えよりも宇宙を橋渡しするワームホールのアイデアを見つけられません。それがちょっとだけ気になるものなので、彼は新しい理論を却下することに対して警告します。

「この仕事で人々が尋ねること総て、かなり怪しいものです」と彼は述べました。「怪しいものではない考えが勝つだろうとは言えません。なぜなら、それが今までのやり方ではないからです。」

 

----- 出典 -----

news.nationalgeographic.com(同様な記事)

phys.orgwww.insidescience.orgwww.messagetoeagle.com

 

----- この記事を読んで -----

ブラックホールあり、ホワイトホールあり、ワームホールあり、ビッグバンあり、インフレーション・モデルあり、となかなか濃い内容です。

そもそも宇宙がどのような構造になっているのか、はっきりはしていません。

この記事では、ブラックホールの中に小さな宇宙が存在していると言っているのではなくて、入り口となるブラックホールの出口としてのホワイトホールが作る他の宇宙に繋がっているとする考えです。ホワイトホールこそビッグバンなのでしょうか。

こうして考えると、宇宙はユニ - バースでなくて、マルチ - バースと想像することが妥当になってきます。想像力のスイッチをブーストONにしてください。こうして様々な想像ができるほど、私達の居る宇宙は奇妙なものなのかもしれません。

 

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