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2020ノーベル賞 - 科学部門


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2020ノーベル賞 - 科学部門

(図 Main building of the Royal Swedish Academy of Sciences ウィキメディア経由CC2.5 クレジット Hackspett)

 コンテンツ

 

受賞された先生達、おめでとうございます。

日本時間で2020年10月5日から、科学部門の受賞者が発表されています。ニュース速報としてダイジェストで紹介されています。簡潔な内容になりますが、なかなか興味深いものです。

 

10月5日、生理学賞または医学賞

ニュース速報

カロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)のノーベル会議は、「C型肝炎(Hepatitis)ウイルスの発見に対して」、ハーベイ J. アルター(Harvey J. Alter)氏、マイケル・ホートン(Michael Houghton)、チャールズ M.ライス(Charles M. Rice)で、2020年ノーベル生理学・医学賞を分かち合って授与することを決定しました。

今年のノーベル賞は3人の科学者に授与されます。彼らは、世界中の人々に肝硬変(cirrhosis)と肝臓癌(liver cancer)の原因となる、主要な世界的な健康問題の血液媒介性肝炎(blood-borne hepatitis)との闘いに決定的な貢献をしました。

ハーベイ J. アルター氏、マイケル・ホートン氏、チャールズ M. ライス氏はこの独創的な発見をしました、新型ウイルスのC型肝炎ウイルスの同定につながりました。 彼らの:研究以前で、A型とB型肝炎ウイルスの発見は重要な前進でしたが、しかし、血液媒介性肝炎の症例の大部分は、説明されていないままでした。 C型肝炎ウイルスの発見は、慢性肝炎(chronic hepatitis)の残りの症例の原因を明らかにし、そして何百万人もの命を救った血液検査と新薬を可能にしました。

 

----- 出典 -----

www.facebook.com受賞者発表の会見ライブのフェイスブック・ビデオ

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10月6日、物理学賞

ニュース速報

スウェーデン王立科学アカデミーは、2020年のノーベル物理学賞の半分を、ロジャー・ペンローズ(Roger Penrose)氏に「ブラックホール形成は一般相対性理論の確固たる予測だ、という発見に」、および残りの半分を、ラインハルト・ゲンツェル(Reinhard Genzel)氏とアンドレア・ゲズ(Andrea Ghez)氏が共同で「私達の銀河の中央にある超大質量コンパクト天体の発見に」授与することを決定しました。

これらの3人の受賞者は、宇宙で最もエキゾチックな現象の1つのブラックホールについての彼らの発見に対して、今年のノーベル物理学賞を分かち合っています。 ロジャー・ペンローズ氏はこれを示しました、一般相対性理論ブラックホールの形成につながります。 ラインハルト・ゲンツェル氏とアンドレア・ゲズ氏はこれを発見しました、目に見えない極めて重い天体が、私達の銀河の中心にある星の軌道を支配しています。 超大質量ブラックホール(supermassive black hole)は唯一の、現在で既知の説明です。

 

ロジャー・ペンローズ氏は、次の証明に巧妙的な数学的方法を使用しました。ブラックホールは、アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)氏の一般相対性理論の直接の結果です。 アインシュタイン氏自身は、ブラックホールが実際に存在するとは考えていませんでした、ブラックホールはそこに入る全部を捕捉する超重量の怪物です。光さえも逃げることができません。

アインシュタイン氏が亡くなって10年後の1965年1月、ロジャー・ペンローズ氏はブラックホールは実際に形成できることを証明し、そしてそれらを詳細に説明しました;ブラックホールはその中心に、そこでは総ての既知の自然法則が停止する特異点(singularity)を隠しています。 アインシュタイン氏以来、彼の画期的な記事は、依然として一般相対性理論への最も重要な貢献と見なされています。

 

ラインハルト・ゲンツェル氏とアンドレア・ゲズ氏は各々、1990年代初頭以来、私達の銀河の中心の いて座A *(Sagittarius A*)と呼ばれる領域に焦点を合わせた天文学者達のグループを率いています。 天の川[銀河]の真ん中に最も近い、最も明るい星の軌道はより正確に地図化されています。 これら2つのグループの測定は一致し、どちらも極めて重く見えない天体を見つけています。その天体は、星の乱雑な寄集め(jumble)を引っ張り、それらを目まぐるしい速度で駆け回らせています。 約400万個の太陽質量が、私達の太陽系に満たない[広さの]地域にまとめられています。

世界最大の望遠鏡を使用して、ゲンツェル氏とゲズ氏は、天の川[銀河]の中心にある星間ガスと塵の巨大な雲を通過して見る方法を開発しました。 テクノロジーの限界を広げ、地球の大気が原因となる歪みを補正するために、彼らは独自の機器を構築し、長期的な研究に専念する新しい技術を洗練させました。 彼らの先駆的な研究は、天の川[銀河]の中心にある超大質量ブラックホールの、これまでで最も説得力のある(convincing)証拠を私達に与えてくれました。

 

「今年の受賞者の発見は、コンパクトで超大質量な天体の研究で新境地を開拓しました。 しかし、これらのエキゾチックな天体は、依然として多くの疑問を投げかけており、それは答えを求めることや将来の研究を動機づけます。 それらの内部構造についての質問のみならず、ブラックホールのすぐ近くの極端な条件下での重力理論をテストする方法についての質問もあります」と、ノーベル物理委員会の委員長の、デビッドハビランド(David Haviland)氏は述べています。

 

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10月7日、化学賞

ニュース速報

スウェーデン王立科学アカデミーは、「ゲノム編集(genome editing)法の開発に対して」、2020年のノーベル化学賞をエマニュエル・シャルパンティエ(Emmanuelle Charpentier)氏とジェニファーA.ダウドナ(Jennifer A. Doudna)氏に授与することを決定しました。

エマニュエル・シャルパンティエ氏とジェニファー A. ダウドナ氏は、遺伝子工学の最も鋭いツールの1つを発見しました:CRISPR / Cas9遺伝子ハサミです。 これらを使って、研究者達は、動物、植物、微生物のDNAを極めて高い精度で変えることができます。 このテクノロジーは、ライフサイエンスに革命的な影響を与えました、そして新しい癌治療に貢献しており、遺伝性疾患(inherited diseases)を治す夢をかなえるかもしれません。

研究者達は、彼らが生命の内部の働きについて知ることがある場合、細胞内の遺伝子を改変する必要があります。 これは、かつては時間がかかり、困難で、そして時には不可能な研究でした。 CRISPR / Cas9遺伝子ハサミを使用して、数週間の間に生命のコードを変えることが可能になりました。

シャルパンティエ氏とダウドナ氏が、2012年にCRISPR / Cas9遺伝子ハサミを発見して以来、それらの使用は爆発的に増加しました。 このツールは、基礎研究で多くの重要な発見に貢献してきました。そして植物研究者は、カビ(mould)、害虫(pests)、干ばつ(drought)に耐える作物を開発することができました。 医学では、新しい癌治療の臨床試験が進行中ですし、そして、遺伝性疾患を治せるという夢がかなうのはもうすぐです。 これらの遺伝子ハサミは、ライフサイエンスを新しい時代に導き、そして、いろいろな意味で、人類に最大の利益をもたらしています。

 

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-----この記事を読んで -----

初日はウイルス学や細菌学のカテゴリーで、分離の難しいウイルスについてです。C型肝炎ウイルスの発見の先は、もちろん治療や治療薬の開発につながります。

2日目は、天体物理学のカテゴリーで、ミステリーだらけのブラックホールについてです。ブラックホールの理論的背景と、私達の居る天の川銀河の中心部が超巨大ブラックホールで構成されていることが掴めたことです。おそらく、他の銀河も同様な構成になっているものと推測できます。銀河中心部はブラックホールの影響で荒々しい環境なのかもしれませんし、そうだとすれば生命は銀河系の外縁部でしか暮らせないのかも知れません。

3日目は、遺伝子工学のカテゴリーから、遺伝子操作の基礎テクニックとして手法/手段の発見です。このテクノロジーの発見で、あらゆる生命の変異(ミュータント)のエンジニアリングの可能性を広げました。倫理観を伴っての、治療などへの成果や発展を期待したいです。

受賞されたテーマは興味深いものばかりです。パンデミックのさなかですので、考えにふけってしまうキーワードが登場するのも、何かのご縁なのかもしれません。

 

----- パズルのピース -----

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