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最初のブラックホール画像は、新しい方法で一般相対性理論をテストするのに役立ちました


最初のブラックホール画像は、新しい方法で一般相対性理論をテストするのに役立ちました

(図 Black hole - Messier 87 ウィキメディア経由CC4.0 クレジットESO/Event Horizon Telescope collaboration et al.)

(Fig.) アーティクル・イメージ  ここに示されているような、銀河M87の中心にある超大質量ブラックホールの周りを光と物質が移動する方法のシミュレーションは、物理学者達が、ブラックホールが周囲の物質に投影する影のサイズを特定するのに役立ちました。 そのサイズは一般相対性理論のテストで重要です / リア・メデイロス

 

M87のブラックホールの事象の地平線望遠鏡(Event Horizon Telescope、EHT)のスナップショットは、再びアインシュタインが正しかったことを示しています

 

2019年4月に初めてブラックホール(black hole)の画像が公開されたとき、それはアルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)氏の重力理論(theory of gravity)または一般相対性理論(general relativity)の強力な確認を示しました。

この理論は、物質が時空を曲げる方法を説明するだけでなく、ブラックホールの存在そのものを予測します。これには、一部の密集したオブジェクトの周りを渦巻く物質の明るい円盤の上に、ブラックホールにより投影(cast)される影のサイズを含みます。 約5500万光年離れた銀河M87の中心にある超大質量ブラックホール(a)のその象徴的な画像は、次のこと示しました。影は、そのサイズに関する一般相対性理論の予測と厳密に一致していました(SN:4/10/19)。 言い換えれば、アインシュタインは正しかった - 再び。

イベント・ホライズン・テレスコープ・コラボレーション(Event Horizon Telescope Collaboration)によって報告されたその結果は、1つの質問に答えました:M87のブラックホールのサイズは一般相対性理論と一致していますか。

しかし、「反対の質問に答えるのはとても難しいです: 一般相対性理論をどれだけ微調整でき、それでいて[ブラックホール]の測定値と一致させられますか」と、ツーソン(Tucson)にあるアリゾナ大学(University of Arizona)のEHTチーム・メンバーのディミトリオス・プサルティス(Dimitrios Psaltis)氏は述べます。 その質問は重要です、何故ならば、いくつかの他の重力理論が宇宙を説明できる可能性があるからですが、しかし、ブラックホールの近くで一般相対性理論のふりをします。

10月1日にフィジカル・レビュー・レター(Physical Review Letters)誌で発表された研究で、プサルティス氏と同僚達は、M87のブラックホールの影を利用して、これらの代替理論の排除へ向けて大きな一歩(b)を踏み出しました。

具体的に言うと、研究者達は、結果への信頼を高めるために嚙合わせる一般相対性理論の「二次」テスト[追試]として知られているものを実行するために、ブラックホールのサイズを使用しました。 それは「太陽系では実際にはできません」、何故なら重力場があまりにも弱すぎるからです、とニュージャージー州(N.J.)プリンストン(Princeton)にある高等研究所(Institute for Advanced Study)のEHTチーム・メンバーのリア・メデイロス(Lia Medeiros)氏は述べます。

これまでのところ相対性理論に対して良好です、研究者達は、彼らがこの二次テスト[追試]を実行したときに発見しました。

結果は、高度レーザー干渉計重力波観測所(Advanced Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)のような重力波実験の結果と同等です。これは、M87よりも小さいブラックホールの合体による時空の波紋(c)を検出しました (SN:9/16/19)。 けれども、新しい研究は興味深いもので、何故ならば「これは、ブラックホール観測を通して、[2次]効果を限定する最初の試みです」と、新たな研究に関与していなかったジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の物理学者の、エマヌエーレ・ベルティ(Emanuele Berti)氏は述べます、

一般的に、物理学者達は、一般相対性理論アイザック・ニュートン(Isaac Newton)氏の重力理論への一連の修正または付属品と考えています。 一般相対性理論は、それらの付属品がどうあるべきかを予測します。 もしも、宇宙で重力がどのように働くかの測定値が、それらの予測から逸脱しているのならば、物理学者達は、一般相対性理論が完全な話ではないことを知っています。 テスト[追試]に追加される付属品や要素が増えれば、結果の信頼度が増します。

太陽系内のような弱い重力場で、物理学者は、ニュートンの方程式への「一次項」の追加が一般相対性理論と矛盾しないかどうかをテスト[追試]できます。 これらの追加は次のことに関連しています。曲がった時空で、光と質量がどのように移動するか、または重力がどのように時間の流れを遅くするなどです。

重力のそれらの側面は、例えば日食(solar eclipse)の間に、星の光がそらされる(d)方法と、次のレーザー光の方法でテストされています。太陽から離れて飛んでいる宇宙船に送信されたレーザーは、地球に戻るのに予想よりも時間がかかります (SN:5/29/19)。 一般相対性理論は毎回合格しました。

しかし、テスト[追試]を格上げするためには、M87のブラックホールの周りのもののように強い重力場が必要です。

 

新しい結果は、アインシュタインの理論に亀裂を見つけることを望んでいる物理学者達にとって、少しがっかりなものです。 一般相対性理論からの逸脱を見つけることは、新しい物理学への道を示せます。 それか、次のものを統合するのに役立つ可能性があります。一般相対性理論、とても大きな物理学、それと量子力学(quantum mechanics)(e)、亜原子粒子(subatomic particles)や原子(atoms)のようなとても小さな物理学を説明する主要な理論です (SN:3/30/20)。 一般相対性理論が未だまゆをひそめることを拒否する事実は、「私達が生涯のうちに答えを得ることを望んでいたほど年をとっている私達のことを心配しています」と、プサルティス氏は述べます。

しかし、こうした一部の希望があります、一般相対性理論はそれでもブラックホールの周りで失敗するかもしれません。 新たな研究は、理論が破綻する可能な方法の候補を小さくしますが、「しかし、私達はそれを無限小にしませんでした」と、メデイロス氏は言います。 この研究は、「EHTがこれを実行できることを示すための、概念実証です… しかし、それは実際には多くのステップの1つにすぎません。」

EHTからの将来の観測は、一般相対性理論のさらに正確なテストを行います、彼女はこう述べます、特に、天の川銀河の中心にあるブラックホールの、いて座A* (Sgr A*)の未発表の画像を用います。 他のあらゆる超大質量ブラックホール(supermassive black hole)よりも、いて座A*の質量をより正確に測定することで、その画像は、理論の周りにある可能性のある候補をさらに小さくするかもしれません - もしくは、それを大きく開いて吹き飛ばすかもしれません。

 

(図 Sag A* ウィキメディア経由CC4.0 クレジットEHT Collaboration) 追加画像

 

 

----- 出典 -----

www.sciencenews.orgmarvellous-tech.comtechnologytimes.pkscientific-news.space

 

----- 2020/10/01公開の記事をを読んで -----

ブラックホールの現実の姿が撮られ始めています。宇宙空間に空いた漆黒の3次元の穴、つまり漆黒の球体の穴のイメージでは納まらないようです。

その周囲にはブラックホールの引力で引きちぎられた天体の破片から発せられた光が、事象の地平線を囲む光輪のようになっています。この画像から、ブラックホールのサイズが読み取れます。

 

ロッシュ限界 - Wikipedia

事象の地平線: 事象の地平面 - Wikipedia

シュワルツシルト半径 - Wikipedia

ホーキング放射 - Wikipedia

 

----- パズルのピース -----

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