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ダークマターの代替品が重要なテストに合格


ダークマターの代替品が重要なテストに合格

(図 Abell 2744: Pandora's Cluster Revealed クレジットNASA)

(Fig.) アーティクル・イメージ  天の川銀河の中心の眺め。 修正重力の理論(Theories of modified gravity)は、このような比較的小さなスケールから宇宙全体のスケールに至るまで、宇宙を説明するのに苦労しました

 

修正重力理論では、宇宙の最初の光を説明することはできませんでした。 新しい公式化がそうです。

 

何十年もの間、反抗的な理論家の一団が、宇宙論の中核となる概念の 1 つである、目に見えない無形の物質が宇宙の主要な構造を形成しているという考えとの戦いを繰り広げてきました。 このダークマター(dark matter)は、私達が 5 対 1 で構成されているものよりも重要であるように思われ、多くの観察結果を説明しています: いくつか例を挙げると、銀河と銀河群の緊密な結合力(cohesion)、遠く離れた銀河からの光が地上の望遠鏡に向かう途中で曲がる方法、初期宇宙のまだら(mottled)な構造などです。

革命家志望者は、別の宇宙レシピを探しています。 ダークマターの代わりに、微妙に修正された重力を代用します。 しかし、彼らの大まかなアイデアを正確な数学的言語に翻訳しようとする試みは、常に少なくとも 1つの重要な観測結果に逆らっています。 一部の定式化は銀河を正しくし、一部のものは光線のゆがみを正しくしますが、しかし、ダークマターの最も批判されることのない(bulletproof)証拠の1つを突破したものはありません: 証拠は、宇宙マイクロ波背景放射(cosmic microwave background、CMB)として知られる太古の光の正確な地図(a)です。 「このデータに一致するためには、理論は本当に上手くゆくものである必要があります」と、ジュネーブ大学(University of Geneva)の宇宙学者(cosmologist)、ルース・デュラー(Ruth Durrer)氏(b)は述べています。 「これがボトルネックです。」

現在、2 人の理論家が、その障害を乗り越えて重力の代替理論を最終的に絞り込んだと述べています。 6月下旬(2020/06/30)にオンラインに投稿(c)されたが、まだ査読に合格していない彼らの:研究は、アインシュタインの重力理論(Einstein’s theory of gravity)を微調整したバージョンを使用して、初期の宇宙の象徴的な地図を再現しています。 「15 年間、私達は水の中で死んでいた」と、ケース・ウェスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)の天文学者で、この研究には関与していなかった修正重力理論の長年の提唱者の、ステイシー・マクゴー(Stacy McGaugh)氏(d)は述べました。 「それは大きな前進です。」

他の人達は、モデルの予備的な結果が有望に見えることに同意します。 「それは少しバロック的ですが、しかし、これまでのところ何も上手く行っていないので、私はそれが上手くゆきそうなことに今でも感銘を受けています」と、デューラー氏は述べています。

ほとんどの宇宙学者達は、2つのパラダイムのうち単純な方として、いまだにダークマターを好みますが、しかし彼らは次のことに同意します。新しい理論は - もしも、それが追加の宇宙観測と本当に一致するのならば - 興味をそそられ得るものです。 「それは大きな障壁になるだろう」と、シカゴ大学(University of Chicago)の天体物理学者(astrophysicist)のダン・フーパー(Dan Hooper)氏(e)は述べました。 「それはかなり興味深いでしょう。」

 

針に糸を通す

総称して修正ニュートン力学(modified Newtonian dynamics)か、または MOND として知られる代替重力理論の課題は、新しいモデルが登場した翌日に偶然にも発行された別のプレプリント[の論文](f)で詳しく説明されていました。 その中でも主なものは、ダークマターが宇宙をまとめる上で果たす主要な役割を再構築することで、これは、ラムダ・コールド・ダークマター(Lambda cold dark matter、LCDM)として知られる確立された宇宙論モデルにより記述されています。

簡単に言えば、LCDMはこう言います、ダークマターなしで私達はここにいないでしょう。 幼児の宇宙はとても滑らかで、通常の物質だけの引力では、粒子を集めて銀河、星、惑星にするのに十分ではありませんでした。 ダークマターを入れます。 ラムダ・コールド・ダークマター(LCDM)は、天文学者により研究された現代の宇宙構造に、通常の物質を形成するために、それらの集合的なバルク[巨大なまとまり]を使用します。

LCDM は、部分的に宇宙論の標準モデルになりました、何故ならば、それがCMBと非常に正確に一致するからです。 初期宇宙のこの地図は、宇宙にさざ波(rippling)を立てているほとんど気付かないほど厚い場所(spots)と薄い場所を表しています。 最近になって、研究者達は、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の光の方向(orientation)や偏光(polarization)をより正確に測定できるようになりました。 成功した宇宙論(cosmology)は、次の 3つの観察結果を再現することにより、宇宙の包括的な歴史を確立する必要があります: CMB の温度、CMB の偏光、それと銀河と銀河団の現在の分布、これら3つです。

 

(Fig.1) 宇宙マイクロ波背景放射

修正重力の新しい理論は、宇宙マイクロ波背景放射の温度「パワースペクトル」を再現できる最初のものです。 この光は、さまざまなサイズの暖かいスポットと冷たいスポットが重なり合っていることから生じました。 さまざまなサイズのスポットの相対的な分布(prevalence)は、初期の宇宙の内容を明らかにします。
縦軸: 平均密度からの偏差、横軸: スポットのサイズ

 

2番目のプレプリント[の論文]では、NASA のジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory、JPL)の天体物理学者のクリス・パルド(Kris Pardo)氏(h)と、フラットアイアン研究所(Flatiron Institute)の計算天体物理学センター(Center for Computational Astrophysics)長のデビッド・シュパーゲル(David Spergel)氏(i)は、あらゆる代替重力理論が、ラムダ・コールド・ダークマター(LCDM)のある特定の機能と競合することがどれだけ難しいかを数値化しました。 (Quanta Magazine は、フラットアイアン研究所にも資金を提供しているシモンズ財団(Simons Foundation)が後援する編集的に独立した出版物です。) ダークマターの密度の高い領域が物質を引きずり込み、最終的に銀河や星を形成したとき、これにより、大部分 - 全体的にではありません - は、最初に物質を通った波紋を洗い流したでしょう。 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光を今日の物質のパターンと比較することで、宇宙学者達はまさにそのような効果をクリアに測定できます: CMB に見られるうねり(undulations)の 100 分の1 のさざ波の残余が今日も持続しています。

シュパーゲル氏はこう示しました、LCDM の代表的な要素を使用せずにこれらの機能やその他の機能を再現するには、最高の理論的な針の糸通しが必要です。 「私達は、これら総ての[修正重力理論]の存在を反証していません」と、彼は言いました。 「しかし、あらゆる代替理論はこれらのフープ(hoops)[絞めているもの]を飛び越えなければなりません。」

 

ダークダスト

中央ヨーロッパ宇宙論基礎物理学研究所(Central European Institute for Cosmology and Fundamental Physics)の理論家の、トム・ズウォスニク(Tom Złosnik)氏(j)とコンスタンティノス・スコルディス(Constantinos Skordis)氏(k)は、- 修正ニュートン力学(MOND)の懐疑論者とファンを同様に驚かせるかもしれませんが - まさにそれを行ったと考えています。 彼らは、なんとか重力理論を構築しました。それは、ダークマターとMONDのパラダイムとの間の境界線をぼかす、宇宙規模で目に見えない形態の物質と厳密に同じように機能する因子を含みます。

彼らの理論は、RelMONDと呼ばれ、一般相対性理論(general relativity)の方程式に、さまざまな活動領域(arenas)で異なる振る舞いをする遍在する場を追加します。 宇宙が膨張するにつれて著しく伸びる雄大無比なスケールでは、場は目に見えない物質のように機能します。 ズウォスニク氏が「ダークダスト(dark dust)」と呼ぶこのモードでは、ダークマターと同じように、場は目に見える宇宙を形成し得ました。 このモデルは、CMBの温度を忠実に再現していますし、- 2人がプレプリントで発表した結果 - 彼らはまだこれらのプロットを公開していませんが、ズウォスニク氏は偏光スペクトル(polarization spectrum)と物質分布も一致させることができると述べています。

「[RelMOND] は LCDM よりも悪いことはできません」と、ズウォスニク氏は述べました。 何故ならば、宇宙全体への理論をとてもよく模倣しているからです。

私達が、宇宙の構造が静止している銀河を注意深く調べる(zoom in)のでなければ、この場は、その MONDの道筋に忠実な方法で機能します: それは標準的な重力場と絡み合い、余分な物質なしで、銀河を一緒に保持するのに十分なだけ強化します。 (研究者達は、銀河のより大きな銀河団に対して場がどのように作用するか、まだ確信していません。長期間続くMONDの悲観的なスポットで、そして彼らは次の提示をします。この中間スケールは、理論を際立たせ得る観察の手がかりを探すために適した場所かもしれません。)

 

2人の数学的成果にもかかわらず、ダークマターは依然として単純な理論です。 新たな場の構築には 4つの新たな可動数学部品が必要な一方で、LCDM は1つだけでダークマターを取扱います。 フーパー氏は状況を探偵の討論に例えます、殺人現場にいた人物が殺人者なのか、それとも CIA にだまされたのでしょうか。 もしも、利用可能な証拠が両方の理論と一致したとしてさえも、飛躍のより少ないものを必要とします。

それでも彼は、彼が宇宙論陰謀論と見なすものに取り組んでいる他の人達を恨むことはありません。 「賢い人々がMONDについて考えてくれてうれしい」と、彼は言いました。

ズウォスニク氏は、ダークマターが直ぐに検出されることを望んでいますが、しかしその間、彼は、MONDに関する彼の研究を、宇宙論的確立への完全な攻撃としてよりも、一般相対性理論を限界まで拡張するための演習と見ています。 今のところ、彼は、次のこと を示すのに役立ったことを喜んでいます。重力の数学は、多くの人達が考えていたよりも、奇妙な現象に適応するかも知れません。

「あり得ないと思い込むだけで、何か有用なものを逃してしまう危険性があります」と、ズウォスニク氏は言いました。 「それは、もう少し成功する何かへの道を指し示すかもしれません。」

 

 

----- 出典 -----

An Alternative to Dark Matter Passes Critical Test | Quantamagazine

www.theatlantic.comnautil.us

 

------ 2020/07/28公開の記事を読んで -----

宇宙を構成するもののミステリーです。 宇宙空間に漂うマイクロ波背景放射の観測をはじめとして、質量を持ち重力だけに相互作用する都合の良いものとして、ダークマターと呼んだものが無いと辻褄が合わないことになります。

残念ながら、ダークマターが直接観測(検出)されたことはありません。 まるで、知覚できない物質のようです... 知覚できないというと、まさにあれのことでしょうか。

 

Dark matter - Wikipedia ( 暗黒物質 - Wikipedia )

 

----- パズルのピース -----

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